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親しき友、知った顔、見ず知らずの人達…………その全てが今、目の前でごちゃまぜになって死んでいる。
バラバラの四肢、誰のモノか分からない血だまり。噎せ返るような臭気。崩壊したビルや馴染み深い街並みも見る影も無く、所々に火の手が上がっている。
これは、お前の望んだ未来じゃあないよな……?
「なぁ、瑠璃香……」
周りは死人だけ。誰も聞こえない中、虚空に向けて独り言を放つ。瑠璃香は、数日前に死んだ俺の彼女だ。いや、彼女……だったんだよな?
地獄絵図ともいえるこの惨状を作り上げたのは、他でもないこの俺だ。
「すまねぇ……誰も救えなかった。本当にすまねぇ」
近くに転がっていた両親と幼馴染みの亡骸を見て、涙が頬を伝った。
俺は世界を救えなかったんだ。
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