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瑠璃香が消えて、悲しみに暮れる暇も無くバレンタインデーの時に貰ったチョコレートの箱を開けたい衝動に駆られた。
最近、何もかもが違和感だらけだ。
急に爆発的に流行ったヒーロー番組、ミラクルスター
瑠璃香からのバレンタインデーチョコレート
大きな入れ物に不釣り合いなほど軽い箱
俺しか頼れる人がいないという、瑠璃香の囁き
そして……唐突に奪われた瑠璃香の命。本当にただの事故だったのだろうか? 頼る人がいない。そんな瑠璃香の言葉が何度も何度も頭の中で木霊して、何か得体の知れないモノが水面下で蠢いているような錯覚に囚われそうになる。
この箱を開けたら、全てが繋がるかもしれない。それなのに、第六感とでも言うべき直感が警鐘を鳴らし、全身か総毛立つ。いざ開けようとして、さっきから体が震えっぱなしだ。
一体何が入っているというんだ?
期待なんてモノは微塵も無く、不安だけが渦巻いている。だけど、俺しか頼れる人がいないと言って、瑠璃香がこの箱を俺に託したんだ。
俺は、意を決して箱を留めているリボンを解いていく。そして……
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