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「あのさ。オレはこれから本選なんだよ。あんたに付き合っている暇はない」
そうだ。靴だ。靴を見つけなくちゃ。
「そうなんだあ。ええとね。
あなたの失くしたのは、金の靴ですか? 銀の靴? それとも皮の靴?」
のんびりとした物言いに、オレはちょっとイラついた。
「皮の靴だよっ」
「うふふっ。じゃあ、これ?」
自称神さまは、いや、女だから女神さまか。は、自分の履いている紫色のスニーカーを指差した。それ、人工皮革じゃん。
「あ、違ったかあ。じゃあね。
お兄さんがお城のパーティで落として来たのは、ダイヤモンドの靴ですか? ガラスの靴ですか? それとも水晶の靴?」
はあ? こいつ、何を言っているんだ?
「お城のパーティになんて行ってない!」
あと出番まで1時間もないぞ。オレはこんなところでこんな女神さまに付き合っている暇はないんだ。
靴、靴、靴。オレの靴はどこだ?
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