お断り

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「ねえねえ、お兄さん。何を怒っているの?」 「靴がないんだよ」  オレは頭をかきむしった。しまった。今朝時間をかけてかっこよくキメてきたのに。 「あ、そうだ。あなたの願いを三つ叶えましょう。だっけ?」 「叶えてくれよ。一つでいいから!」 「ほんと?」 「うん」  勢いで答えてしまった。 「ねえ。その無くなった靴じゃなくても、すごーく履きやすい靴ならいいんでしょ?」 「なんだって?」 「いいから、いいから」  女神さまはオレに襲いかかると、今履いているサンダルを脱がせ、自分の履いているスニーカーを脱いで、オレの足をねじ込んだ。 「いてててて」 「いいからいいから」 無理っ! 女性用のスニーカーが男であるオレの足に入るわけがない! 「あれ? あれれ?」 「オッケー♪ お兄さん、ピアノ弾いてみて」  オレは、すぐ目の前で屈んだ女神さまの胸元にドキドキして、反撃のチャンスを逃した。
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