48人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえねえ、お兄さん。何を怒っているの?」
「靴がないんだよ」
オレは頭をかきむしった。しまった。今朝時間をかけてかっこよくキメてきたのに。
「あ、そうだ。あなたの願いを三つ叶えましょう。だっけ?」
「叶えてくれよ。一つでいいから!」
「ほんと?」
「うん」
勢いで答えてしまった。
「ねえ。その無くなった靴じゃなくても、すごーく履きやすい靴ならいいんでしょ?」
「なんだって?」
「いいから、いいから」
女神さまはオレに襲いかかると、今履いているサンダルを脱がせ、自分の履いているスニーカーを脱いで、オレの足をねじ込んだ。
「いてててて」
「いいからいいから」
無理っ! 女性用のスニーカーが男であるオレの足に入るわけがない!
「あれ? あれれ?」
「オッケー♪ お兄さん、ピアノ弾いてみて」
オレは、すぐ目の前で屈んだ女神さまの胸元にドキドキして、反撃のチャンスを逃した。
最初のコメントを投稿しよう!