それは入学式から始まった。

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「高校生にもなってさ、入学式に親なんて、普通来なくねー」 ってオレは母親に言った。 「普通か、どうかは解らないけど、親が行きたいって言っているんだからいいじゃない」 って母親は言った。 「恥ずかしいから学校に入ったら近くに来るなよ」 「今年は桜が遅かったから、今日みたいに風が強いと散っちゃうね」って、 全くオレの話を聞いてない親。 オレたちと同じ方向に歩く生徒や参列する保護者たち。 学校に近付くと何処から舞って来たのか桜の花びらが飛んで来た。 「わぁー 凄いわね」って母親が言った。 正門が見え門の横には入学式の文字。 その門の向こうに大きな桜の木が見える。 あそこから飛んで来てるのかっと思いながら門に入ると 横の校舎の3階まで届く大きな桜の木。 その桜の木の下にオレたちに背中を向けて桜の写真を撮っている生徒がいた。 「  ?  」 真下から撮ってる。 って思った時、強い風が吹いた。 桜の花びらが雪の様に降る・・・ その男子生徒を包み込むように・・・風が巻く・・・ ・・・俗に言う・・・桜吹雪。 オレは無意識に携帯で写真を撮っていた。 桜の花びらの中の生徒。 「あら、写真撮ったの? 珍しい」 母親のその声に振り返り、 「撮ってねーし」 って嘘をついたオレ。 桜の木に視線を戻した時には、その生徒は居なかった。
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