【プロローグ】終わりの始まり

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 12月25日、世間で言うクリスマスにその少女はイギリスでイギリス人の両親の間に生まれた。  無口でおとなしく滅多に笑わない少女をいつしか両親はおかしいと思い始めていた。買った覚えのないおもちゃ、本などが家の中に転がっているのだ。  しかし、小さな事だと気にしないで両親と少女は幸せな生活を送っていた。  そして、ある日少女は銀色の毛並みの猫を連れて帰ってきた。自分たち以外の人や動物に決して関わろうとしない少女が猫を連れて帰ったのが嬉しかった両親はその猫を家で飼うことを許可した。  ある日、猫が交通事故で轢かれて死んでしまった。猫の死に感情を露わにした少女は猫が死んだ次の日、全く同じ姿の猫を少女は連れてきた。  両親は気づいたのだ。  身に覚えのないおもちゃや本、そして死んだ猫とまったく同じ姿の猫。  少女がそれらを“創った”ということに。  世界中で似たような出来事が起こり始めていた。  日本で見られるはずのないオーロラの発生、ドイツ全土でのポルターガイスト現象、砂漠地帯での氷山の発生などなど。  世界の異常現象の原因。  それはごく普通の子供達であった。  一番最初に発見されたのが、あらゆる物を創ることができる少女――アリス=ヴァーミリオンであった。  アリス同様、特殊な力を持つ子供達は危険視され、研究の対象となった。子供達は全員同じ場所へと隔離され、ほぼ毎日実験を行わされている。勿論、家族とは離れ離れである。  今、子供たちが隔離され暮らしている場所を世界は【隔離都市】と呼んでいた。
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