第1章

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星は異星人の文明を知った。少年は古代文化と風習を知った。星は涙を見せた。 鳴いていた虫の声が止まった。星を見張っていた男が近づいて来た。 星がそれに気がつくと、少年は消えていた。 夏の頃。 十六歳の誕生日の夜、月子は目を覚ました。 ちょうど十一時になろうとする頃、月子は誰かに呼ばれたような気がして、 ベッドから身を起こした。部屋の窓を開け、瞬く街の光を仰ぐと、 月子は生れ付きに持ち合わせた血が騒いだ。いつもより近く、多く見える星に同調して、 その輝きに答えるように、月子の血は、抑えられない位に騒いだ。 パジャマを脱ぎ捨てて、机の引き出しから占い用の青い石を一組握り、 スカートのポケットに入れた。忍び足で廊下を抜けて、音を立てないようにドアのかぎを回した。 月子は街で一番大きな公園に向かった。街灯がまぶしく感じた。 大きな気が沢山並び、車のヘッドライトが小さく遠くに走る公園。 月子は街灯の光が届かない石の椅子に腰掛けた。 その横には丸い石のテーブルがあった。 月子は月明かりの中、石のテーブルにハンカチを広げ、占いの青い石を並べた。 星の導きに騒ぐ血を感じ、青い石を従わせ、何かを読めそうになった時、 不意に、月子の後ろに二つの影が動いた。
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