花一つ、咲う(わらう)

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新年、人混みの中。 工藤小春(くどうこはる)はその波に揉まれながらも辿り着く。 御利益が有る(らしい)初詣の名所(らしい)の賽銭箱の前。 何故「らしい」が連呼されたかと言えば、去年まで彼女はこの手の話題にあまり興味が無かったから。 つまり、「詳しくは知らない」ということ。 友人達から聞いた程度の知識なのだ。 関心自体は今もそれほど無いのだが。 では何故、彼女は然程興味も関心も無い筈のこの場所に居るのか。 当然だが、「神頼み」をしに来たのだ。 その内容は… (どうか私の想いが叶いますように!) 最近教わったばかりの作法を間違わないよう行い、祈りを心に思い浮かべた。 そう、この場所で似たような願いが転がりまくっているであろう「恋」に関する内容である。
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