2.鏡の中の女の子

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「……あぁ、そう……」  和成が呆気にとられて、ふと月海の後ろに視線を移すと、塔矢が一生懸命笑いをこらえていた。  なんとなくわかった。塔矢が月海を引き合わせた理由が。  月海は、紗也と初めて会った頃の和成によく似ているのだ。  塔矢と月海から目を逸らして、大きくため息をついた和成を見て、月海が食ってかかった。 「私の腕をお疑いでしたら、お手合わせ願います」  和成は驚いて月海を見つめる。頬を紅潮させて睨みつけていた。どうやら、和成のため息を小馬鹿にされたと勘違いしたらしい。 「控えろ、月海」  塔矢が諫めるのを和成は片手で制した。 「いいよ。真剣勝負といこう」 「え? 真剣ですか?」  月海が少しためらうような表情を見せた。和成は少し意地悪な笑みを浮かべて月海を見つめる。 「何か不都合でも? まさか、人を斬った事がないなんて言わないよね? 人を斬れない護衛はいらないよ」  和成の言葉に月海は再び食ってかかる。 「私は塔矢殿の前線部隊所属です。人が斬れなかったら、今ここにおりません。君主様がお怪我をなさってはと、ご心配申し上げただけです」 「ご心配ありがとう。でも、無用だけどね。私は結構強いよ」  静かに見下ろす和成を、月海はムッとした表情で見上げた。 「かしこまりました。真剣でお願いいたします。用意して参りますので、道場にてお待ち頂けますか」 「承知した」  和成の承諾を聞いて、月海は一礼すると執務室を出て行った。
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