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空がとても綺麗な雲一つない快晴、そんなある日のことだった。暦の上ではもう春なのだが、まだまだ冷たい北風が僕の皮膚を刺す。少しぶかぶかな黒いコートを着て、しっかりマフラーを巻いてから僕は出掛けた。家を出たものの行く宛も特になく、いつもの散歩道をのんびりと歩いていた。
公園の横を通り、猫が沢山いる裏路地に入る。古い家の湿った匂いと、じんわりとした皮膚では感じ取れない温もり。そんなものが混じりあってできているから、暗くて細い道だけど僕のお気に入りだ。
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