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梅の木と木の間、誰かいる。白いコートと長い茶髪──多分女。誰かがここに来ることはとても珍しいから、僕はその人がどんな人なのか気になった。しばらくその人を見ていたが、梅に夢中なのだろうか、一歩も動かないから僕も梅を見ることにした。
手前の梅の木は白い花を付けているが、奥の梅の木は濃いピンク色の花をつけている。木によっては八重咲きのものもある。細くゴツゴツとした幹と可憐な小さな花はなんとなく対照的に思える。
「見事な梅ですね。」
不意に後ろから声をかけられた。大人しめの女性の声。振り返ると、さっき夢中で梅を見ていた女が立っていた。
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