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__ふわふわ、ふわり。
私のセカイに舞い降りた小さな花弁は、くるりと回ると、まだ時々吹いている冷たい風に攫われて何処かへ行ってしまった。
__少しだけ寒い。…おひさまはあったかいのになぁ……
…なんて、心で文句を言ってみたり。
生えたばかりの若草色した雑草を踏み潰して、高鳴る鼓動に少しばかり不安を抱いて。
「っくしゅん!」
そばを歩いていた通りすがりに、心の中で心配しつつ、ほんのり冷たいアスファルトを蹴った。
あてはない。
ただ、歩くだけ。ちょっとそこまでの散歩。
ふと、先ほど飛び出してきた家を思う。
……………大丈夫だとは思うけどね。
…夕方までには帰ろうかな。
なんて考え事してたらいつの間にか立ち止まっていたらしい。
__ここで止まっているのも変だし、少しそこの公園で一休みしよう。
ちょうど生えたばかりの草がふかふかしていて、気持ちが良さそうだ。
所々薄桃色が緑に混じっていて、それもなんだか綺麗だと思った。
「…にゃあ」
と、鳴き声を一つ上げて、薄桃色の木のせせらぎに耳を傾け、目を閉じた。
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