3人が本棚に入れています
本棚に追加
それ以来、心は――人間に対する心は――閉ざされたままだ。
本当の自分で接する意味なんかないのだと、いつの間にか、事ある毎に自分に言い聞かせて。
寂しくないと言えば嘘になる。
けれど、どうせわかってもらえることなど、ありはしないのだから。
本当に信じてほしいことを信じてもらえずに、他に自分の何をわかってほしいと思えるだろう。
見えるものしか見ようとはせず、聞こえるものにのみ耳を傾けようとする。
自分の感覚だけがすべて。それが人間。
そんな彼らに心から打ち解けることをせず、独りこうしている自分もまた、確かに『人間』なのだけれど。
「私に、何かしてほしいの?」
そよぐ植物。
羽ばたく鳥。
よく晴れた日の渡る風さえ、不快を露わにした悲しみに満ちているような気がして。
いつもいつも、心に薄暗い影を落とした。
最初のコメントを投稿しよう!