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そうだ――いつでもどこでも用心を怠ってはいけないのだった。
幼少より染み付いた自戒の念を思い返しながら、やや声をひそめて睦月は続けた。
「だったら……その時は無理でも、後でもう一回役所行って届け直しゃよかっただろーがっ。おかげでどんっだけ外で苦労してると思ってやがんだ、ええ……!?」
確かに家の中では苦労していない。
が、外での神経の磨り減らしようはとんでもなく桁違いなレベルであった。
「その口の悪さだと、露見する心配はないな」
「口じゃねーよ問題は。体だ、カラダ! 中学までならまだしも、もう十七だぞ! 高二だぞ!?」
「何が困る?」
「何……って――――もうオレも、いつボインになったっておかしくねーんだぞ!? サラシ巻いてっ男のフリしてんのだって限界があるだろーがっ!!」
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