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「あ……れ? ……また、白くなった? 気のせいかな……」
たどり着いた鏡の前で、映し出された自身の顔を食い入るように覗きこむ。
生まれつき肌が白すぎる、というだけならまだ良かったかもしれない。
「女」である事実を隠すため、体育的な行事や授業もほぼ休めるようにと「身体が弱い」としているのにも説得力が加わるというものだ。
それよりも――。
周囲にひた隠しにしている、もうひとつの「重大事」。
なぜか一定の長さ以上には伸びないこの銀色の髪と、同色の瞳。
「……」
あえて鏡面の自分を直視しないように細心の注意を払いながら、カシャカシャと振ったヘア・マニキュアのスプレーを短い髪に噴射する。
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