3. 襲撃(1)

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 そういう思いすべてをひっくるめての時間稼ぎ、でもある。  「……なんで、なんだ……?」  腰を低く落としどのようにでも動ける体勢を取りながら、抑え込んだ声で問う。  そんな睦月に、黒ずくめの覆面男は無言のまま刀を構え直した。  言葉が通じないのだろうか?  暗がりで覆面の下から目だけ向けられても、まったく表情が読み取れない。  どちらにしても好意的でないことだけは確かであり、言葉なり身振り手振りなりで理由を説明してくれる親切心も無さそうだ。  稽古中ではないため、当然こちらは竹刀も剣も持っていない。
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