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――――夢を見た。
けれど何の夢だった?
具体的に、どんな……?
わからない。
元々おぼろ気だったその輪郭は、時間が経つにつれてさらに歪んで曖昧になって、あっという間に消えていったけれど。
やけにもの悲しい――喪失感のようなものがしばらく脳裏にこびり付いて離れなかった。
それだけは、憶えている。
◇ ◇ ◇
「仮装?」
今朝方の夢を引きずってぼうっとしていた哲哉の耳に、睦月の不服そうな声が飛び込んできた。
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