第1章「その男の名は」

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「恐ろしいことにそのようです。これは私にとっても想定外です。しかも、VR用の装置を装着すれば誰でも行くことができるというおまけつきです。最新テクノロジーはオカルトの領域まで到達したようですよ」 安藤は興奮気味に話しながら、目の前にあるディスプレに目をやった。 「全く……我々総務省は、オカルトの協力をするために認可したんじゃないんだけどな……」 2人の目の前には、深く椅子に腰かけた男性が、頭にVR用のHMD(ヘッドマウンドディスプレイ)を装着し、頭や手を動かしながら操作していた。 その前には、この男性が体感しているであろう空間の風景が男性視点で映されていた。 「上米良課長、見てください。目の前に小学生ぐらいの女の子がいるでしょ? さっきからこの女の子がついてくるものですから、何者なのか聞いたんですよ」 「他にこのVRを使って侵入しているやつがいるということか?」
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