駄犬は再教育しましょう。

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「とーま...!」 会長様は切な気に藤馬くんのことを呼んだ。 えっ?知り合い? 「誰が名前を呼んでいいと言った? 犬、お座り。」 会長様はハイと大人しく地べたに正座した。 えっ!?犬!?会長様が、藤馬くんに従順になってる!!?? 「僕がいない間に新しいご主人様見つけたんでしょ?」 あの子、と藤馬くんは薫を指して 会長様に冷たい目を向ける。 「だから、もう僕は必要ないよね?」 「ちがっ!とーまだけっ!! アイツなんかご主人様じゃないっ!!」 会長様は藤馬くんにすがり付いている。 もはや、まわりの生徒は困惑で静まりかえっている。 「駄犬はいらないよ。」 藤馬くんは足にすがり付く会長様を冷たく払いのける。 「とーまっ....!ごめんなさいっ! お願いっ捨てないでぇっっ!!」 手を払い退けられた会長様はポロポロと泣き出した。あの俺様会長様がこんなにもあっけなく涙をこぼすなんて! 「じゃあ、どうしたらいいか賢い犬は分かるよね?」 やれやれとため息を吐いた藤馬くんは 近くの椅子に座って足を組んだ。 会長様は藤馬くんのもとに座りなおして制服の首もとのボタンを外した。 「...っ!!会長様が首輪してる...!?」 会長様は赤い革ベルトの首輪をはめていた。 その光景に周りの生徒もザワザワと騒がしくなる。 会長様は恍惚とした顔で床に手をつき藤馬くんを見上げて言った。 「俺はご主人様の犬です。ご主人様がいないの寂しくてオイタしました。反省してます!だからっ .....お仕置きして下さい..!」 「淳っ!!何してんだよ!コイツに脅されてるんだろっ!!?俺が助けてやるぞっ!!」 殴られたのに相変わらず元気なやつだ。 藤馬くんは会長様を見下ろしていた目を薫に向けて鼻で笑った。 「犬、まずは忠誠心をみせろ。 どういうことか分かるな?終わったら部屋に来い。調教し直してやる。」 藤馬くんはそう言って食堂を出ていった。 会長様はその姿を見送ると真っ黒にくすんだ目で振り返った。
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