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次の日、ちゃんと朝から授業に出た。
でも松本 尚吾が来た。カードキーをわたしに。
「ひろ~、昨日はごめんって!俺にはヒロだけだし! ほらカードキー忘れてただろ?」
ずいっと前に出したカードキー。
俺は一度だけ松本に目を向けた。
そして、何もなかったように教科書を机の中にしまいこみ鞄からパンを出した。
「...なあ、ヒロ?」
目の前にいる彼は声をかけてくるが
俺は気にもせず中庭に向かった。毛玉に会いにいくんだ。そして、お昼寝しよう。
「おいっ!ヒロってば!!無視すんなよ!」
ソイツは俺の腕を引っ張りひき止めた
「...昼ごはん食べるんだけど、何なのキミ」
男は愕然としていた。ヒロが男に向けた目が男に何の感情も示していなかった。
興味すらも。
ヒロは腕が解放されたのを見て中庭に向かった。
「よう、三島ヒロ?」
まっくろ。またそう思った。
「...毛玉じゃない」
ふわふわとお昼寝予定なのに
帰ろう。お昼寝は寮でもいいや。くるりと踵を返して帰ろうとした。
「ちょ、おい!無視かよ!!」
またもや腕を捕まえられひき止められた
「おいおい、俺を無視するなんていい度胸だな?」
ニヤリと笑っているが眉が寄っている。
何で怒ってるの?
「....なに?まっくろに用ないんだけど」
「ああ?まっくろだと?俺は晃輝だボケ」
頭を手のひらでガシリと捕まえられて目を合わせられる。黒曜石に光が差して俺を絡める。
それに見とれていると首根っこを掴まれてあの木の下につれて座らされた。
「...あき、てる?」
「ああ、そうだ」
彼は俺の隣に座り頭をぐしゃりと撫でた。
上がった口角に耳にかかった髪が目にうつる。
「ヒロ、飯はそれだけか?」
持っていたパン一個を指される。
「食べるの面倒。」
「アホ、ちゃんと食え俺の分けてやる」
あきてるは大きな弁当箱を取りだし開けた。
色とりどりな食べ物がつまって輝いていた。
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