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白塚 澪。そう呼ばれたマリモはハッとなり
声の方に振り返った。
まわりで野次馬をしていた生徒たちが
まるでモーセに割られていく海のように道をあけた。
俺はいまだに来ない衝撃と、
聞き覚えのある声に恐る恐る顔をあげた。
「なんだお前!!凄いカッコいいなっ!」
マリモは顔を赤くして声をあげる。
静かにマリモに歩みよる姿に、不意に誰かが呟いた。
「更木理事長だ....」
大人の色気をはべらせながら近づいてくる姿にマリモは急にモジモジしだした。
そして媚びるように上目遣いをして言った。
「俺、澪っていうんだ....。名前で呼んでくれ!
お前、名前何て言うんだ!?俺、お前のこ、恋人になってやってもいいぞ!」
理事長はフッと笑っている。
オールバックに切れ長の目が緩む顔に皆が顔を赤らめた。
そして、
「遼ちゃん、ただいま。」
「お帰りなさいぃ~...っ!」
誰もが理事長までもマリモの餌食かと思いきや、
マリモを完全にスルーして
そしてまさかの会計様とハグしているではないか。
会計様は顔をふにゃっふにゃにして理事長の胸元に頭をぐりぐりしている。
「んなっ!!何してんだよっ!遼!!
抱きついていいのは俺だぞっっっ!!!」
マリモは顔を先ほどとは別の意味で顔を赤くしている。
その理屈はどこからきたのか問いたいところだ。
あり得ない声量で喚きちらすマリモに理事長はようやく視界にうつす。
その冷たい目線に照れるマリモにビックリだがそれよりも驚くべきことがある。
「なんなの?アンタうるさいわよ!
アタシと遼ちゃんの感動の再会を邪魔しないで頂戴!」
.....え?
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