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7月24日
昨日、彼女と喧嘩をした。そこまではいい。
いつも通り、俺が謝って。彼女も、『いいよ』って、それで終わり。
の、はずだった。
何がいけなかったのだろう。そんなことはわかっては、いる。だが。
「あれは……あいつが悪いだろう……」
確かに俺も悪いところはあるかもしれない。だが、奴の悪質さときたら、この上なかった。
論点のすり替え、こちらにターンを譲ることなく、中傷を繰り返す。いや、全て事実に基づいてはいるのだが……。
にしても、くそ。気にしていることをズバズバと言ってくるとは思わなかった。いや、何を言われたとかは言わないが。
でも、彼女が俺に対して不満を持っていることも、わかった。
彼女も激昂していた。我を忘れていただろう。
お洒落をしなくなったのは、確かにそうかもしれない。彼女が好きだ。付き合うまでは、彼女を振り向かせたかった。
精一杯のお洒落をした。男性向け雑誌で今のトレンドを押さえ、かつ自らの個性を失わないようにする工夫も凝らした。女子ウケのいい香水もつけた。整髪料にも気を遣った。
彼女も、俺のことを好きになってくれた。俺がコンプレックスとしている部分も、彼女は『かわいい』などと言ってフォローしてくれた。
俺は彼女を振り向かせるための努力をした。しかし、付き合って、はい、おしまい。となっていたかもしれない。
彼女にとっては付き合うことがゴールではない。それはむしろスタートで、それから、2人でどうやって過ごすか、もしかしたらずっと先の将来まで見ていたのかもしれない。
だから、付き合うことで満足してしまっていた俺に不満を抱いていた。
「やっぱ、メールじゃダメだよな……」
直接会いに行こう。そう決めた。そう思うと、急に彼女のことが愛おしくなった。彼女の仕草、笑った顔、困ったような顔、髪の匂い、全て。
明日までには、なんとかしたい。なんとか解決して、世界の終末を見届けなければ、いけない。
そう思った。
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