愛おしい子へ

8/8
前へ
/8ページ
次へ
ぼんやりとした思い出しかないけれど 確かに私の大切な人で 知っていることは 人から聞いた話がほとんどだけれど 胸を張って自慢できる私のお母さん。 自慢の娘だと言われるよう 私はもう大丈夫だと安心してもらえるよう 私は桜の木に向かって満面の笑みを向けた。 そっと隣の父を見ると 私と同じ方を向いてはいたが その表情に父親としての威厳はなかった。 笑いを耐えながら 父を促して再び扉に向かい合う。 私たちはもう うつむいてなんていられない。 大きく開かれた扉を 晴れやかな気持ちで私は通る。 その先で待っている 愛する人と幸せになることを確信して。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加