質量保存の法則 マキのあやまち

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「で、泣いて私に頼むのよ、犬を見つけ出してほしいって、 馬鹿らしくなって無理だって断ったけどしつこいの、礼はいくらでもするからって」  何で捨てられた犬を探さなきゃいけないのよ馬鹿馬鹿しい、 と顔をしかめて言うみつばだった。 「よほどその犬を可愛がってたんだな、荒井が入院して 家族はその犬を捨てた、もともと嫌いだったんだろう」  人間の勝手な行動だなと欽二は思った。 「暇があったらって答えたんだけどそしたら喜んで、犬の種類や特徴を 教えてくれたわ、えっと、種類はマスチフで、8歳か9歳くらいで・・・」 「マスチフだったら単独で歩いてたらすぐに見付かるよ、大人の人間と 同じくらい大きなやつだ、すぐに話題になると思う」  昔ならともかく都会に巨大な大型犬がうろうろしていると目立つ、 すぐに話題になるだろう、 殺処分したなら保健所か保護センターに問い合わせれば分かる。 「都会に野犬はいなくなった、全て殺されたんだよ、 野良犬や猫にも住みにくい世の中になったなあ」
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