質量保存の法則 マキのあやまち

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「人間でも動物でも住む所がなくなって一人ぼっちになったら 集まるとこはいっしょだよな、目立たないし意外と食べ物もある」  欽二がしみじみ言った。  その数日前、同じホームレスのたまり場で、  最近はこういう場所でも危険が絶えなかった。チンピラの予備軍、 悪い高校生や中学生が深夜に集団でやって来て高齢の人達を襲う。  理由は面白いからだ。全国各地でも事件は起こっていて、 寝ている老人の衣服に火を点けたり、石や棒で襲撃したり 無抵抗な社会的弱者をいじめるのだ。 「ちょっとからかってやろうぜ、奴等恐がってヒーヒー逃げるから」  数人のチンピラ予備軍がホームレスのねぐらに近付いた。 暴力は加えなくても彼らを取り囲んで大声で叫ぶと恐がってオロオロするのだ。  不良達が眠っている一人の老人を囲んだ、用意していた爆竹を鳴らし 一斉に騒ぎ立てた。その時、暗い所から大きな獣が不良に飛び掛った。 体当たりされ不良は数メートル飛ばされた。
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