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と呼ぶ男、荒井だった。
犬は尻尾を下げうつむき加減に荒井に近付いた。
荒井が寄って来た犬の首の皮を引っ張り、持っていたナイフで切り裂いた。
食堂は騒然となった、荒井の横にいた女性が咄嗟に荒井を突き飛ばした。
荒井は車椅子ごと床に倒れた。
犬の首から鮮血が飛び散った。スタッフが大急ぎで動物病院に連絡した。
床に広がった血の海からキラッと光るものをみつばが見付け、
すかさずポケットに入れた。
「何だか大変なことになっちゃって、ゲンも他の人もとんだ災難よね、
何が愛犬よ、金の亡者が」
みつばは憤慨していた。
「そうだな、欲深い奴は死ぬまで強欲なんだな」
悪行を繰り返して事業を大きくした荒井は部下も社員も家族も信用してなかった。
それは自分が法律を犯したり信頼する人を騙した反証だった。
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