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再び上杉の空咳が未明の四畳半に響いた。
「それでな、設楽。お前が操作したワギャンの特徴を言ってみろ」
噛んで含めるように彼は言う。ワギャンは緑色の恐竜で、いやこうじゃないな。緑色も恐竜もおおよそ人間に当てはめられる特徴とは言えない。お前が操作したワギャンと上杉は強調した。ということは、通常プレイのワギャンと僕のプレイしたワギャンには違いがある。それが特徴のはずで……。
僕は思考を止めた。思い当たる節が一つあったのだ。
「『ワギャコプター』が使えない」
「ご名答! それが三つ目のヒントだ」
「うん、思い返せば上杉。お前やたらと『縛りプレイ』を強調してたよな。なんだっけ。『手の届かないところにまで手が届いちまう』からだっけ? あっ!」
そうか、そういうことか。
「お前の言うところの容疑者は、地面に置かれた荷物には手が届くけれど、ハンガーに掛けられたコートにまでは手が届かない特徴があるとそう言いたいんだね!」
「またまたご名答だ。なんだ設楽。冴えてきたじゃねぇか」
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