鬼龍の詩

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その夜、城が何者かに奇襲される。 火をはなたれた城は、またたく間に燃え上がる。 城のものたちは逃げ惑ったが、彼らを冷静に避難させ、傷の手当てなどをしたのは、他ならぬ青桜丸だった。 城下にも火の手があがると、臣下や民に的確な指示をだして被害を最小限にとどめた。 有事にどう行動するかで、真の名君か否かは決まる。 青桜丸を暴君として蔑んできた臣下や民たちは、自分たちの器の小ささに気づき、青桜丸のために次々と武器をとり、騒ぎの元凶の捕縛に尽力した。 元凶は、龍桜丸を再び擁立せんと暗躍していた一派だった。 龍桜丸は、その筆頭として様々な指示をだしていた。 それを、青桜丸自らが尋問する。 「一体どう責任をとるつもりだ?」 「そりゃあ、斬首刑でも火刑でも、好きになさってください」 「私はできればそなたを殺したくない」 「甘いことをおっしゃるものではない。もう、その域は出ているでしょう。何人死んだか数えていないのですか?」 そう言って龍桜丸は皮肉に笑む。 「拷問の上火刑に処せられませ、殿」 臣下たちが口々に言う。 臣下たちの嘆願に押し切られる形で、青桜丸は龍桜丸の刑を決定し、龍桜丸は五日間の拷問の末、河川敷にて火刑に処せられた。
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