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でも、私を待っているのではなさそうだ。
待ってるはずなど、あるわけないか……。
彼はスマホを耳に当てていた。
当てながら、その場を大股で離れて行く。
目で追うと、入口近くの場所に移動して行った。
カウンターで必要な書類を受け取り、バッグに仕舞った。
何気なく入口の方を見る。
けれども、誰も立っていなかった。
私ったら何を考えたのよ?
心の中で苦笑いをした。
そんなことがあった翌週。
また、その人を役所で見かけた。
驚いたことに向こうから声を掛けてきた。
「こんにちは」
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