第 2 章  出会い

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彼のいる方に戻る? それって変じゃない? 『待っててね』と私が言ったわけじゃないし、ましてや彼が『待ってるよ』と言ったのでもない。 すると、立ち上がった彼が数歩入口に向かって歩き出した。 そして、さも約束したように少しだけこちらに上体を向けた。 私をジッと見つめて。 私を待ってるの? この展開って? ドキドキしながらそこまで行って、彼と並んだ。 「同じ方面ですよね?」 弾んだ声で訊く。 「え?」 「歩きですよね?」 
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