第 1 章  道草

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爽やかな春の日和。 ちょっとだけ、遠回りして帰ろうかな。 いつもより十二、三分ほどサボることになっちゃうけど。 そのくらい許されるわよね? そう、自問する。 『そうよ、サボっちゃえ。滅多にない素晴らしいお天気よ』 もうひとりの私が返事した。 会社を出たのが、午後一時十五分。 午後一番の仕事。 会社の用は二十分で終わった。 腕時計を見る。 今は・・・一時五十分。 土手に向かって歩いていた。 毎回、外出の度にそんなことをしているわけじゃないのよ。
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