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思いも寄らない誘いに平常心でいられなくなった。
愚かにも、その次の何かを期待した。
ドラマチックな展開が起こることを。
ところが、そんなことは全く起こらなかった。
ただ、静かに肩を並べて歩いただけ。
見頃の桜を観賞しながら。
お互いに名乗りもしなかった。
相手の勤務先の会社名を知ってるだけ。
その次があると漠然と思った。
あれが最後と分かっていたら、絶対に彼の名前を訊いていたのに。
あのあと、何回も何十回もそう思った。
やがて、冷静に考えた。
向こうはその先のことなど、露ほども思っていなくて、桜見物を誰かとしたかっただけなんだ。
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