第 2 章  出会い

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そう解釈するのが最もだと結論付けた。 だから、お互いに名乗らなくて正解だったのだと。 桜見物後、ピタッと彼を見かけることがなくなった。 前と同じく数週間後に彼が役所に姿を現わすことはなかった。 「○△社さん」 係りの呼び出しに応じるその会社の人は私と同年代の若い女性もいれば、年配の女性もいた。 ある時は二十代の男性。 よっぽどその人に彼のことを質問してみようかと思い悩んだ。 名前を知らないのに、どう尋ねたら良いかも分からず、結局訊けずに二ヶ月経った。 そして、ある日。 役所の係りと○△社の人が話しているのを偶然耳にした。 「転勤したんです」
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