第 1 章  道草

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仕事の最中に、寄り道なんてしたことない。 カフェとか行ったこともない。 いつも真っ直ぐに会社に戻っている。 あの日のたった一回を除いて。 誰かに咎められてる訳じゃないのに、言い訳をしてる。 役所を出て、空を見上げたら道草をしたくなった。 きっと、あそこの桜が咲き始めていて、綺麗なんじゃないかなって。 会社に戻る道のコースを少しだけ変えるだけ。 時間的にはせかせか歩かなくても、いつもの歩調で大丈夫。 ペッタンコの靴だし、バッグ一つでとても身軽。 これなら桜並木の下を歩いて行っても、会社に帰る時間が十数分余計にかかる程度でしょ? 構わないわよね。 
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