第 3 章  桜堤で   

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得手勝手な予感が的中するのを心から願った。 一年前のあの日、お花見を誘ってくれた理由を知りたい。 あれ以来、会えなくなって寂しかったと伝えたい。 彼が私を思い出してくれたら……。 下の道を歩く彼をジッと見る。 ううん、彼がここまで駆け上がって来なくても、私が下の道に下りて行こう。 彼が私に微笑んでくれたら、思い切って言おう。 『お元気でしたか?また、お会い出来て、嬉しいです』 実際に言えるか自信がないけど……。 桜の花の下、華やぐ心が勇気を奮い立たせた。 二人の視線がぶつかった。 その瞬間、彼が走り出した。 私に向かって!  
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