第 3 章  桜堤で   

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ものの数秒で遊歩道に駆け上がった。 私の真正面に立った。 ハアハアと息が上がって、苦しそうだ。 「いやあ、こんにちは!」 満面笑顔の彼は、腰に手を当てた。 しばし、息を整えた。 「岩織尊(いわおりたける)」 戸惑う私に、彼は言い足した。 「僕の名前」 「え?あ、はい」 「あなたに伝えたくて」 穏和な眼差しに体中が熱くなる。 当惑から喜びに変わり、今度は私の番。 「篠山朱音(しのやまあかね)……です」 
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