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ものの数秒で遊歩道に駆け上がった。
私の真正面に立った。
ハアハアと息が上がって、苦しそうだ。
「いやあ、こんにちは!」
満面笑顔の彼は、腰に手を当てた。
しばし、息を整えた。
「岩織尊」
戸惑う私に、彼は言い足した。
「僕の名前」
「え?あ、はい」
「あなたに伝えたくて」
穏和な眼差しに体中が熱くなる。
当惑から喜びに変わり、今度は私の番。
「篠山朱音……です」
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