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「なぁアキラ “にぶんのいちせいじんしき” って知ってるか?」
「え? 何だって? にぶんのいち?」
「私もよくわからんのだが、ほら見てみろよ」
「なになに?」
アキラを引き寄せて覗き込む大鏡の中、そこには一人の少女が映っていて、手にした手紙を大人へ差し出し、それを受け取った大人は嬉しそうに、泣いていた。
少女の後ろにある黒い壁には、装飾とともに大きな文字で確かに書かれている。
“二分の一成人式、十さいの決意”
「待って、この後ろの文字昨日調べたよ、えっと確か “十” だ、数字の十、何だろう? 十歳で何かあるのかな?」
「それがわからないから聞いたんだ」
「ハル兄がわからない事、俺がわかるわけないじゃん」
「アキラなら何でも知ってると思ってさ」
そうして何度も首を傾げて見せると、ちょっと待っててと部屋を飛び出して行ってしまった。
だけどすぐに戻って来て、ドスンと分厚い本を鏡の横に置いた。
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