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「やっぱりあったよ! この国の辞典! えっとえっとあった! 成人式の二分の一の年齢の十歳を迎えた事を記念して行われる行事、だってさ」
「せいじんってなんだ?」
「ちょっと待って、えっと……心身が十分に成長した人、二十歳以上の人だってさ」
「ふぅん」
「きっと大人まであと半分、だからおめでとーって事じゃない?」
「この国は不思議な祝い事をするんだな」
「まぁ確かに行事の多い国だよね」
「でも良いな」
「え?」
見つめ続けていた鏡から視線を上げると、今度はアキラが不思議そうに首を傾げていた。
それはただ本当に、疑問を浮かべた表情。
そんな様子に思わず溜息なんか吐いたりしてしまう。
「何にしても、両親に祝ってもらえるって嬉しいじゃないか」
「あぁ、そういう事」
「羨ましいな」
最後のは独り言のつもりだったけれど、それが私の気持ちを決意に変えた。
こんなうじうじしてても仕方ない。
行動するしかあるまい!
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