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「行こう!」
「え? どこに?」
「二分の一成人式の祝いに」
「え? 何? どういう事?」
「折角だから、祝いに行ってやろう」
「いやでもっ」
決めたら即行動!
それは兄弟揃って昔からの性格だ、だからこそ今もアキラは当たり前に俺に付いて来てくれると思ってた。
だけど、珍しくアキラの足は動かなかった。
私の冷たく向けた視線に動じる事無く、真剣な表情を見せ、真似るようにわざとらしく溜息をついた。
「言ってる事とやってる事がちんぷんかんぷんでよくわからないよ、それで禁忌を犯すなら俺は反対だよ」
「……だって……祝って、あげたいから」
「本心?」
「うん」
私の答えを嬉しそうに頷いて返し、アキラの足がやっと私に追いついた。
なんでわざわざそんなことを聞いたのだろうか、アキラだって会ってみたいってずっと話してたのに。
これじゃあまるで私のワガママじゃないか。
そうして私達は決められた口上を述べ、光と共に鏡の中へ吸い込まれる。
この感覚は何度試しても慣れない、なんだか気持ち悪い。
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