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出会ってそろそろ1ヶ月になる。渚は毎日俺の部屋に来るけど、未だにプラトニックな関係でキスもしていなかった。俺が若干奥手なのもあるけど、渚が失恋で傷ついている間は手を出す気にはなれなかった。
もしかしたら、渚はそれを不満に思っているのかもしれない。それとも、本当に1ヶ月前に自分のしたことを後悔しているのだろうか・・・?
それでも、俺は真剣に付き合ってきたつもりだったから、酔っているとはいえ渚の言葉の真意が気になった。
「毎日俺の部屋に入り浸っておきながら、よく言うよな。こんな風に気軽に呼び出すし」
「うん・・・。だから、進藤君って人がいいよね」
渚は酔っぱらっているようだったけど、真剣な瞳でこちらを見ていた。
「あのね・・・バレンタインのチョコをあげた人、いるじゃない?」
ああ・・・渚が不味いチョコをあげたから、嫌がらせだと思った男か。俺の心の中が少しざわついた。嫉妬なんだろうか・・・?
「連絡が来たんだ・・・。あのチョコの誤解を解くチャンスっていうか・・・」
渚がまだその男を想っていることは明らかだった。そりゃあ、そうかもしれない。俺は結局、死ぬのを思い留まるためだけの存在だったのだから・・・。
「誤解が解けたら、どうするの?」
「一緒に暮らしたいと思っている」
その言葉に傷つく自分を感じた。
元々そんなに深い仲だったのだろうか・・・?渚が何も言わないから何も聞いていなかったけど。
「じゃあ誤解が解けたら、俺たちはもう会えないんだね」
「えっ?」
渚が心底驚いたような顔をしたから、いくら常識が薄い子で、いくら俺が人がいいと思われていても、他の男と同棲する女を俺が受け入れると思うのだろうか・・・?
そう思うと不快になった。
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