Act 4

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 これから体を貫くような絶頂が押し寄せてくることを期待して瞼を閉じた彼女の鼓膜を、「うがぁぁっ」という醜い悲鳴が震わせたと同時に、顔面に生温かい液体が降り注いだ。 「ちょっ……コウちゃんっ!」  クライマックスというところで、お預けどころか悪戯をされたと思い、羞恥心と怒りで飛び起きた彼女は、一瞬、自分が目にしているものが信じられなかった。  そこにはこれでもかというほど目を見開き、口から真っ赤な汁を噴出させ、「あがっ、うごっ、ぐごぼっ」と、水に溺れているような声を出して、もがき苦しむ彼の姿があったのだから。 「きゃぁぁぁぁっ」  視覚的刺激がようやく脳へと伝わり、状況を理解した彼女は劈くような悲鳴を上げた。  その声は校舎中に響き渡った。
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