第一話 モブの人生の方が平和である

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「でもどこの誰が決めたか知らないけどさー、IF世界と現実世界は交わっちゃいけないんだヨネ。それで歪みが生まれちゃってもう大変」 「深刻な話に聞こえるのにお前の口がくわえてるカステラ棒のせいで全てが台無しだよ」 はー、やれやれって感じで肩をすくめてるけど、私のおやつをどんどん食べていくんじゃない。 私がやれやれってやりたいわ!! 「でもIF世界だから馴染めなくてさ、そこで奴らが考えたのが【存在の変換】ってやつ」 「【存在の変換】?」 「もともといる自分たちにとってはIFの存在の自分と本当の自分の存在を混ぜて、書き換えるってこと。キミが体験したみたいに魔法を使わせたりしてネ。あ、契約とかいってやったりする」 頭が爆発しそうである、もともと頭がいいほうじゃないし、どっちかっていうとリアリストだ私は。 二次元は二次元でありえないと判断しながら物語を読むタイプなのである。 つまり速水さんと朝倉さんはIFの自分と契約して魔法を使えるようになってたわけか。 「自分たちと近い存在にして、【科学の世界】のIFに近づけるとなんとその存在はすごく不安定になるんだヨ。いろいろとネ。例えば、テンションが高くなったり、普段できないことをやっちゃったり」 確かに火事なんて普通に生きていたら起こさないだろう。 「存在が不安定になったらそ周囲も不安定になって、世界も不安定になる。で、完全に不安定になったところで【科学の世界】に【魔法の世界】が入る形で混ざり合う。そこで【科学の世界】であるIFの自分をある方法で消す。すると、【科学の世界】は不安定だった部分がごっそりなくなっちゃうんだヨ。だから、不安定だった存在が起こした火事もごっそりなくなる。で、もし火事が起きなかったらっていう未来をごっそり抜けた部分につなげちゃえば何にも起きなかったことになる」 「あー、だから未来をつなげるとか何とか言ってたのね」 「そ。で、消えた存在であるところに自分の存在を入れて【固定】する。そうすると世界の修正力っていうのが効いて、不安定だった存在が起こしたことがなくなるんだよ、お金持ち放火事件もね」
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