第一話 モブの人生の方が平和である

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「どうやって?そこが抜けたらおかしくなるんじゃないの?」 「前に選択肢の話したでショ?あれがすべて修正されるんだヨ。二人は火事を【起こさなかった】、もともと二人は魔法を【使わなかった】ってな具合に。世界が修正してるんだから普通の人の記憶も修正される。で、残るのは存在を変換した【科学の世界】にとってはIFの存在だけってわけ。厄介なことにそいつらはこっちでも魔法を使えちゃうんだヨ」 だから魔法を使って金儲けしようなんて言ってたのか・・・ つまり今私がいる世界では金持ちの火事も、学校の火事も起きなかったっていうことに修正されてるってことか。 「あれ?じゃあ速水さんと朝倉さんは?どうなったの?」 「どっちの世界からも消えた」 「は・・・・」 持っていたおやつ(酢いか)が落ちた。消えた?え、どゆこと? 「悠があの黒いローブ着た二人が来た時点で【科学の世界】の二人はすでに消えてたし、悠と契約したボクが力を使ってここにいるのはおかしい【魔法の世界】の二人を消したからどっちの世界からも存在が消えて世界は元々いなかったって判断した」  当たり前のように、それが当然だとでもいうようにそいつはニンマリ顔のまま言い放った。 「でも【魔法の世界】のやつらは覚えてる。戒めとして、起こり得る現実としてネ」 「起こり得る現実・・・・?」 「そ。魔法ってある意味何でもできちゃうから起こった出来事は絶対忘れないようにされてるんだヨ。で、大変なのはここから」  そいつはカステラ棒の棒をゴミ袋に入れて立ち上がって、両手を広げた。 「さっきもいったようにさすがに世界が混ざり合うなんてことが起きちゃったから歪みが生まれちゃって世界はお互いに修正しようとしてさらに歪んじゃってサ!そこで二つの世界はある一つの結論にいたっちゃって!!」 「・・・結論って?」 「世界が二つあるからおかしくなる、だったら一つにしてしまえっていう結論。でも、おんなじ存在が二つあるわけだからどっちかを消さなきゃいけない。【世界が一つになる時】がきたらどちらかが消える。つまり合計で世界一つ分の存在が消えちゃうってワケ」 あまりにスケールの大きい話についていけなそうになる。どこのSF映画だと声を大きくして言いたい。
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