0人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうやって食べるノ?」
「ここをちぎってたべるんだ」
なんで食べ方を知らないかとか私は突っ込まない。めんどくさそうだからだ。
誰かはパプコを加えて私の手をひいて、ベンチに座った。
なにがしたいんだろうな、こいつ。
「哲学的な話スキ?」
「いや、好きじゃないな」
「実はこの世界はたくさんのIFであふれていてネ」
「きけよ、話」
誰かはパプコを口に話し続ける。てか、私哲学的な話好きじゃないんだけど。無視か。
「君があの時、世界の救世主にならないと選択したから起こらなかった未来があるし、起こった過去があり、こうしてキミと話す現実がある」
「はぁ・・・」
「生き物っていうのはたくさんの選択肢から一つだけ選んで生きているもので、それは思考回路が複雑なものほど、選択肢がたくさんあってさ、そしてたくさんの選択肢を捨ててるんだ」
哲学な話は分からないのに、私は返事もしていないのに誰かは話をつづけた。
「時にはその人の人生を左右する選択の場面がある。誰にでも、どんな生き物にでも」
誰かは、立ち上がって私の前に跪いた。下から私の眼を見つめる真っ赤な目
「キミの大きな選択はもうすぐくる、キット」
蝉の声がうるさい、はずだった。けど、今は誰かの声しか聞こえない。
「キミは選択しなくちゃあならない、きっと、イツカ、スグニ」
ニンマリと笑った口から紡がれる言葉の意味が全く分からない。第三者がきいたってきっとわからない。
言われた本人である私が分かっていないのだから。
「もうすぐソレは起こる。キミの選択を迫るソレが」
まったく意味が分からない。
誰かは私の眼をまっすぐ見ていた。表情はニンマリとしていたがどこか確信を持った表情だった。
「どの選択を選んでも間違ってはいない、キット。間違ったと思うのは自分が後悔してるカラ。デモネ、忘れないデ」
誰かは立ち上がって私にいった。
「絶対後悔しない選択なんてナイんだから」
誰かは陽炎のように消えた。私は体調を崩しているのだろうか。ここのところ、日常とかけ離れた出来事が起こっている気がしてならない。
ここで、よく言われたことを考えればよかったのか、それともすべて忘れてしまえばよかったのか、これもまた選択肢だったのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!