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さて、何でこんな長々と話をしているのかというと、ある意味走馬灯のようなものだと思ってほしい。
なんで、走馬灯なんか見るのかって?死にかけてるからかもしれない、学校に起きた火事のせいで。
桂木 怜、17歳で死にそうです。
ちなみに火をつけた犯人は、有名人二人でした。理科室で火をつけてるのを目撃した。アルコールランプを生徒が簡単に持ち出せるようにしとくんじゃねぇよ、くっそ。
多分、金持ちの家の火付けの犯人もこの二人だろうな、自分たちで火をつけて、自分たちで消したんだ。自作自演ってやつ。
で、面白いポイントが一つあるそれは、二人が魔法とやらを使えなくなっていたことだった。
慌てふためく二人をしり目に炎はあざ笑うかのように、校舎を食い尽くしていく。
まるで意思を持っているかのように。
出入口は開かないし、魔法は使えないしで、二人は何か叫んでいた。
そんな二人を放置して私は、何とか生きようと炎から逃げ回っていたわけだが、とうとう煙を吸い続けて動けなくなってしまったというわけだ。
酸素も使っていたんだから当たり前である、馬鹿か私は。
壁に寄りかかりながらぼぉっとしていたら、あの有名人二人、速水さんと朝倉さんが廊下の先から歩いてくるのが見えた。
なぜか、どこかの物語のように黒いローブを身にまとって。
頭が酸素不足でおかしくなっているのだろうか、理科室で見た彼らは制服を着ていたはずだし、黒いローブなんてもってなかったし、鞄にだって入らないはずだ。
「これであとはこの火事が起きなかった未来をつなぎ合わせちゃえば、居場所を奪える」
「そうだねー、あー、科学の世界の人間って馬鹿なんだね。ホイホイ、魔法を信じじゃってさ」
未来をつなぎ合わせる?居場所を奪う?科学の世界の人間?まったく意味が分からない。
「やっとあの世界ともおさらばかー」
「魔法を使って金儲けしようぜ!」
つまりあの二人はこの世界の人間、科学の世界の人間じゃない?居場所を奪うってことは、あの二人は違う世界の速水さんと朝倉さん?
こんなことを考えてしまうなんてどうやら私の頭はとうとう酸素が足りなくなって馬鹿になっているようだ。
どんなファンタジーだよ。
だけど、確かなことは一つ。
私はそんな自分勝手な考えに巻き込まれてこんな目に合ってるってことだ。非常に腹が立つ。はらわたが煮えくり返るっていうのはこのことだ。
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