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脱出の最終手段として学校の窓をたたき割ることも考えたが割れなかった。この時ほど、学校の分厚い窓を恨んだことはない。
「ていうか【科学の世界】では魔法が起こした火は、魔法での水でしか消せないヨ」
「なんだその設定、めんどくさいな。でも、アルコールランプだったぞ、火元は」
「あんなちっぽけ火元でこんなに早く火が回るわけないでしょ。魔法で広げたんだヨ。ちなみに魔法でしか消せないのは【科学の世界】にもともとないものだからネ」
どおりで消防車の音が聞こえてるのに火が消えないと思ったわ。
どこか逃げる場所がないかと周りを見渡すがない。それが現実である。
「で、ここで選択ダヨ、桂木怜チャン!」
「テンション高いな」
「ボクと契約すれば助かるヨ!だから契約しよう!!」
「スルーか、だがしない」
「えぇぇぇ!」
誰かが叫んでいるか知ったことか、嫌な予感しかしない契約なんか結べるか。
だがしかし、現実は非情である。その誰かは私の背中に飛びついてきて笑っていた口をさらににやけさせていったのである。
「しかし強制デス!ボクがキミを気に入ったので!!問答無用で!!契約してもらうヨ!!!」
「は?!おい、ふざけんな!!」
「ここで素直に契約しとけば、後が楽だったのにネ!!」
こいつが前言ってた大きな選択ってこれか?!選択が大きく分けても【契約する】しかないじゃんか!!なにがどっちを選んでも後悔するだ!選ぶ余地すらねぇじゃねぇか!!
あんなにシリアスに前振りしといて結果がこれって荒あれすぎるだろ!!
そんな私の理不尽を飲み込むかのように視界が暗くなって私は気を失った。
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