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そして、魔法と呼ばれる不思議な力を持っています。もう竜たちは人間に関わることもなく、自然が満ちた場所でただ静かに暮らしているのです。
少年は竜がとても大人しいことを知っていました。竜のタマゴを盗むのも難しいことではありません。
しかし、少年は考えます。何故昔、竜は人間と共存していたのか。竜にとって人間は厄介な存在なはずです。ですが、竜は人間と暮らしていた時代があったと聞いたことがありました。
スワローシップはそろそろ降下の準備にはいります。
そんなときでした。
「あなた、とても不思議な物を持っているのね」
少年に声をかけてくる少女がいました。短いブロンドの髪、目は碧眼で、青いワンピースをまとい、大人のように凛々しい顔立ちをしています。少年の嫌いなスカートをはいていません。白いスラックスと革のブーツをはいています。
「これのことかい?」
少年はリュックから竜のタマゴを取り出しました。その少女に悪い感じはしませんでしたし、なにより少年と近い年齢のようです。それに少年は竜のタマゴに気づいた少女に少し興味を持ちました。
「わぁ、大きなタマゴ」
少女は目を丸くしました。少年は得意気な気分になりました。
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