第1章

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「竜のタマゴさ」 「これ竜のタマゴなんだ。初めて見た」  少女は竜のタマゴに目を見開いきました。 「ねぇ、触ってみていい?」 「いいよ」  少年は座ったまま少女に竜のタマゴを渡しました。 「温かいのね」 「竜は魔法を持っているから」  少女は竜のタマゴを抱いて、嬉しそうにしていました。 「この竜のタマゴはどうしたの?」  少女の質問に少年は困りました。盗んできたと何故か少女の前で正直に言えません。 「ええと……」  少年は嘘を考えました。その時です。気圧に突入したスワローシップの船体が大きく揺れます。 「あ」  少女が抱いた竜のタマゴが廊下に落ちて転がりました。 「おいおい!」  少女は竜のタマゴを追いかけます。少年も慌てて竜のタマゴを追いかけました。竜のタマゴはカーゴシップの船尾を抜けて、空が剥き出しの甲板に転がっていきます。
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