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少女は脇目も振らず竜のタマゴに向かって走ります。
「おい!」
少年は慌てて叫びました。タマゴが鉄柵の隙間から落ちようとして、少女が手を伸ばしたからです。少女は身を乗り出して竜のタマゴを捕まえました。少年は少女の両足をつかんでいました。
見ていた周りの大人が大慌てで少年と少女を助けます。
「ふぅ……」
一息ついてから少年は強く言います。
「危ないだろ。落ちたらどうするんだ」
竜のタマゴなどまた盗んでくればいいのです。少年は少女を心配しました。
「ごめんなさい……でもその竜のタマゴから感じたの」
少年には少女がなにを言っているかわかりません。
「感じた?」
「命が躍動する力を感じたの……」
少年は不思議そうに少女を見ました。竜のタマゴは無事のようです。少年は少女から竜のタマゴを返してもらいました。
「ん?」
少年は気づきました。竜のタマゴが音を立てます。
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