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「ほら!」
少女が声を上げました。
竜のタマゴに亀裂が走り、広がっていきます。少年は慌てました。
タマゴの綺麗を突き破り、竜が顔を見せました。竜の子供です。竜の子供は少年を見ていました。
「う、生まれた……」
考えてもいなかったことです。竜の子供はタマゴの殻を自分で割ると、その小さい身体を見せました。竜の子供は乳白色の肌をしていて、背中に翼がはえています。頭には小さな角が二本伸びています。
「クルル!」
竜の子供は少年に飛びつきました。もう、背中の翼の力で飛ぶことができるようです。
「クルルッッ!」
竜の子供は少年に飛びついて、無邪気な瞳で少年を見ていました。タマゴから生まれたばかりで、少年を見た竜の子供は少年を親と思い込んだようです。
「これ、オレが飼わなきゃダメなのか……?」
飛びついてくる竜の子供を見ながら少年は呟きました。少女はそんな少年と竜の子供を眺めて小さく笑いました。
なにはともあれ、少女も竜の子供も無事でした。
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